前描き(前作)とは?

 「10号X万円」と表現する絵画の相場は、人気図柄10号の新作を基準にしている。その作家が代表的作風を確立する以前の作品は、前描き(前作)として扱われ、相場に比べてかなり安い。たとえば、ある作家がグループ展に出品された新作に、10号当たり約100万円の発売値がついたとします。その2ヵ月後のオークションでは、同じ作家の10号作品が25万円で落札された。だからといって「2ヵ月で4分の1以下に暴落」と決め付けることはできない。後者が安かったのは、図柄の色調が暗い前描きだった事もあるからだ。「大器晩成」神話が根強い日本美術界の場合、前描きと新作の価格差は特に大きい。

 現存作家は作風を今後変化させ、現代の代表作が売り絵である場合、没後に評価が一変して、前描きが逆に真の代表作に昇格することもありうる。